Kok & Chow         Chow Sing Chi

星馳の映画にとって谷徳昭(ビンセント・コク)は、脚本家として監督として共演者として、なくてはならない存在ですよね。実は私、役者としての谷徳昭のファンなんですよね〜。そんな谷徳昭へのインタビューの中で星馳の事が少し語られています。谷徳昭を通して星馳の素顔をちょっとだけ見ることが出来るかもしれません。
ということで谷徳昭先生へのインタビュー記事をどうぞ!
ビンセント・コク■谷徳昭(ビンセント・コク)Vincent Kok
■1965年生まれ
テレビや映画界で仕事をしていた姉の影響で映画に興味を持つ。自宅もテレビ局に近かったので、よく遊びに行っていたとか。
カナダでマスコミを学んでいたときに高志森(クリフトン・コウ)と出会い、脚本を書いて見せたら「やれるよ!」とお墨付きをもらう。'90年に香港に戻り、高志森の勧めで映画界入りし、脚本家としてスタート。『家有[喜喜]事』で周星馳と、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝 天地笑覇』で李力持(リー・リクチー)と知り合い、以後、彼らのトリオ*ぶりはよく知られている。
脚本作品として『Beyond日記』『0061北京より愛を込めて!?』『破壊之王』、監督(共同含む)・脚本作品として『呆[イ老]拜壽』『008皇帝ミッション』『ゴージャス』、俳優として『野獣の瞳』『食神』などの作品がある。

*トリオの図*

◆ ビンセント・コク インタビュー ◆

―――あなたと周星馳、李力持の3人は個人的にも親しいのですか?
KOK: とてもいい友達さ。北海道にスキーになんかよく行くよ。香港では食事をしたり玉突きをしたり。チームワークはばっちりで、ストーリーやギャグは3人で遊びながら考え出すんだ。たとえば『0061北京より愛を込めて!?』も、みんなでしゃべっていた時に、誰かが「おぃ、中国からスパイが来たらオカシイだろうな?」って言い出したことから始まった。それからしばらく3人でスパイごっこに夢中になって(笑)、その後で作品になった。映画製作の時も、ある時は誰かが脚本を書く、ある時は誰かが監督をするっていった具合に、役割がめちゃくちゃになるんだ。
―――周星馳はとっても神経質な人だと言われていますが。
KOK: エグザクトリー!へんなやつだよ(笑)。でも、考えるのがものすごく早い。撮影している時には、「あんた、どこ行っちゃったの?」みたいな感じで、ずっと先を突っ走っている。『喜劇之王』という作品があるけれど、彼はまさにその喜劇の王で、シンチーが先頭を走ることで方向性が生まれるんだ。あとは3人でワイワイガヤガヤやるだけ。
食神 食神
―――李力持監督の『食神』では、周星馳を相手に堂々の演技を披露しましたね。
KOK: あの役は、初めは別の俳優に決まっていたんだ。でも、あんまりしっくりとこない。いかにも悪そうな男だったら、シンチーがコロッと騙されるわけがないだろ。「誰かいないかな?」という話になった時に、リクチーとシンチーが同時に僕を見たというわけ(笑)。僕は2人に、精一杯やるしかないから、うまくコントロールして欲しいと言ったんだ。もし、僕の演技を悪くないと言う観客がいるとしたら、それは2人の力だと思う。俳優としていろいろやったけれど、脚本をじっくり読んで演じたのは『食神』と、やっぱりリクチーの黎明(レオン・ライ)と鄭秀文(サミー・チェン)が主演した『愛[イ尓/心]愛到殺死[イ尓/心]』のゲイ役くらいかな。でも、もうあんまり出るのはよそうと思っている。
―――ギャグのネタは?
KOK: 3人とも、いつも人間の行動をよく見ていて、どういうシチュエーションになったらおかしいかと考えているんだ。こだわるのはナンセンスな笑い。それにシンチーは中国武術が好きだし、僕もカナダで空手をやっていたので、アクションでも笑わせたい。だから、日本の漫画やアニメからのインスピレーションは大きいよ。『ミスター味っ子』『破壊王ノリタカ!』『ドラえもん』『北斗の拳』。こっちが言っている動きがピンとこない俳優には、「こうやるんだよ」と日本の漫画を見せることも多いし。
少林サッカー 破壊之王
―――ハリウッドにはすでに香港映画のアクション映画人が進出していますが、
    コメディの分野の可能性は?
KOK: 進出できると思うよ。『メリーに首ったけ』とか『オースティン・パワーズ』なんかは香港映画に通じるところがある。大切なのはシチュエーションで、これには国境はないもの。『0061』も『オースティン』も、ダサいスパイが別世界に行くという設定は同じ。言葉の壁があるから俳優が行くのは難しいけれど、製作面では可能性は大ありと思う。
―――日本のファンに一言
KOK: 日本の漫画にはお世話になっています。僕らは同じファミリーです(笑)

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※因みにこれはジャッキー・チェンの「ゴージャス」の監督を手がけた頃のインタビューです。
「香港スター伝説」「少林サッカー讀本」より抜粋させていただきました。